アシュリーという名の熟成ワイン…
「年齢を重ねるごとに良くなってるの!!まるで高級ワインのようよ♪♪」by アシュリー・ワグナー
成熟したオトナの滑り。これぞフィギュアスケーティング!!アシュリーのワールドフリー演技はまさに"高級ワイン"のような深みある味だった。
神がかり的な演技が続く最終グループ。ボストンワールド最後の滑走者としてリンクに立ったアシュリーは凛と気高かった。6度目の挑戦で、ノーミスで、パーソナルベストで、地元観衆の目の前で、銀メダル!!近年稀に見る劇的ドラマ。
プログラムはドラマティックなクライマックスへ。楽曲が最高潮に盛り上がり歓声の沸き立つ中、アシュリーが最後のジャンプへと向かう…。待っているのは苦手な3ルッツ。多くの観客もそれを知っているのだろう。鮮やかに降りた瞬間、地鳴りのようなモノに包まれる会場…
あのとき、あの場所は、完全に、『ムーラン・ルージュ』と化したいた。
日本勢意外で魂を揺さぶられた演技はソチのカロリーナの♪ボレロ以来。最後のルッツを降りた瞬間の感動は、ソチで真央がループを降りたときにとても似ていた…。
若手の高難度プログラムもいい。それもフィギュアスケート。ただ、叩き出した得点は覚えていても記憶に残らない演技も多い。
目を閉じて頭の中でプログラムを自動再生出来るのは、ソチのカロリーナや真央であり、今回のアシュリーの演技。スケートへの愛とプライドとそれまでの人生を込めた演技…。
リレハンメルのヴィットの『花はどこへ行った』は今でも"イメージ"を思い出せる。
アシュリーファンならずとも、フィギュアファンなら今回のアシュリーの演技は絶対に見ておくべきだと思う!!
「演技が巧いなんて思われてはまだまだ。何も感じさせないこと。物語の中に自然に溶け込こんで見る人をただ没頭させること…」
※ある有名俳優の言葉
このプログラムは、すべてのエレメンツが完全にプログラムの中に溶け込んでいる…。
✦ボストンワールド2016✦
ロシア版タチアナ・タラソワ解説
この演技を残してくれたアシュリーと、彼女を支え続けたラフコーチに感謝と称賛を…。
真央の話で申し訳ないけれど、今回のアシュリーの銀メダルとカロリーナの現役復帰が、真央の来季への高いモチベーションへ繋がっていると俺は確信している…。
アシュリー、カロリーナ、そして、真央という名の熟成ワイン…。来シーズン、3人揃って味わうことが出来たら、こんなに嬉しいことはない。